施設NEWS

2023.03.16

認知症対応型デイサービスのすすめ~改善事例報告~

こんにちは!
今回は認知症対応型デイサービスのご紹介です。

認知症対応型デイサービスでは、認知症の診断を受けたご利用者に対して少人数のグループでのサービスを提供させていただきます。

認知症の方は周囲に多くの人がいる空間では、周囲の情報が多くなり、それだけでそわそわと落ち着きがなくなってしまうことが多いためです。

少人数での空間でなじみのご利用者や職員と過ごすことでより個別性のあるサービスやケアの提供が可能となります。

それでは実際のケアの取り組みについてご報告いたします。

A様 女性 87歳 要介護4

病気:重度アルツハイマー型認知症(2016) 高血圧症 便秘症

利用サービス:デイサービス(週6回)訪問看護 訪問介護

認知症の症状:「財布がない」と訴え落ち着かないことが必ず毎日何度もあり

 

取り組み開始の経緯:上記の強い認知症状が継続していることから、

202212月中旬ご家族とケアマネージャーと相談し、一般のデイサービスから「認知症対応型デイサービス」へ移行する。

12月中は「認知症の周辺症状の発生状況(時間や場所)」「水分摂取量」「排便状況」をアセスメントする。

【アセスメント結果】

認知症状「財布などを探して落ち着かない」

一般デイでは毎日あった周辺症状が認知症対応型デイサービスに変更後、

全く出現しない日がある(週1回程度ではあるが)

いつ:午後が多い 毎日ではない どこで:どこでも 

どのような状況で:一人でも少人数でも

認知症の周辺症状の発生は 日内変動と週内変動があることが認められる。

排便状況:排便周期は45日に1度 下剤の影響から便失禁もあり

水分摂取量:デイサービス利用中800ml摂取 水分は良く飲まれる

→認知症のタイプ判定

身体不調型(脱水)身体不調型(便秘)

【ケアの目的】

認知症の周辺症状を消失する

【具体的な目標】

脱水の改善

生理的な排便リズムの獲得(排便周期 現状5→3日)

【実施するケアプラン】

水分ケア 現状800ml水分ケアプランの作成目標値1000ml

歩行訓練 デイ:現状なし 歩行ケアプランの作成(AM歩行訓練PM車椅子なし)

下剤の確認:頓用の下剤を内服した日にご家族にカレンダーにチェックを入れてもらう

20231月よりケアプラン開始

毎週火曜日にケアの成果と方針を検討する。

日付

周辺症状

排便周期

ケアプラン変更

1/10

ほぼ毎日頻回にあり

失禁ないが5日間隔

水分プラン1000ml→1200mlに変更

1/17

頻回ではないが

毎日あり

3日連続排便あり

水分プラン1200ml→1400mlに変更

1/24

3日連続で症状なし

4日間隔で排便あり

水分プランに寒天ゼリー300mlを導入

1/31

1日のみ症状なし

3日連続排便あり

ケア継続

2/7

4日間症状なし

3回排便あり

ケア継続

2/16

2/8以降症状なし

4回排便あり

ケア継続(記録は終了)

ケアの結果を受けて

【ご家族】

自宅でも落ち着かなくなると対応に困っていたので、その症状がなくなったのでとても助かっています。

水分や運動をしっかりしていただいているので、その成果か下剤を服用することがなくなりました。

「お便りカレンダー」はとても助かっているのでこれからもよろしくお願いします。

また足の運びが良くなったので家での介護も楽になりました。

【担当ケアマネージャー様】

一般のデイサービスでは、認知症状があると他のご利用者から注意を受けることがあり心苦しい思いでした。

認知症対応型デイサービスに移り、環境の影響の大きさを再認識させてもらいました。

【担当介護職員】

以前のA様は認知症状が毎日ありその都度職員が個別で対応していました。

しかし今回認知症対応型デイサービスに移行していただき、さらにしっかり認知症ケアに取り組んだことで

今ではすっかりその症状がなくなりました。

毎日穏やかに過ごされているためにみんなで一緒に様々な活動に参加していただいています。

わたしも長く介護職員をしていますが、こんなにも改善することを経験することができとてもうれしく思います。

お便りカレンダー(排便状況記録)

 

一般のデイサービスから認知症対応型デイサービスに移行していただき、

大人数のグループから少人数グループでの生活という環境変化によりある一定の周辺症状の発生頻度を減少することが出来ました。

しかしそれにとどまることなく、さらにアセスメントを深め課題を明確にしたうえでケアを行うことで

周辺症状を消失することができました。

サービスの提供によりご利用者の課題を解決することや自立性が回復することは介護職員冥利につきます。

今日も「いつも楽しい きたざわ苑♪」とA様のオリジナルソングが聞こえてきます。

 風船バレーの風景

ご利用者が元気になることは、ご家族へ関係者へと元気が伝播していきます。

今後もご本人もご家族も職員も関係機関のみなさまも元気になるようなサービスを提供してまいります。

ご興味の方はぜひきたざわ苑にお気軽にご相談ください。